IMGバスケ田中力くんインタビュー

昨シーズンのGEICO NATIONALSで全米制覇し、全米ランキングを1位で終了したIMGアカデミーバスケ。そのトップチームで活躍する日本の将来のエース・田中力くんにIMGアカデミーのカフェテリアでプランBの代表高野がインタビューをさせていただきました。

 

 

高野: どうもこんばんは。忙しいのにごめんね。よろしくお願いしますね!

田中: とんでもないです、よろしくお願いします!

 

高野: まずは基本的なところから・・今って何年生?

田中: 11年生です。日本でいうと高校2年生になります。

 

高野: バスケはいつからやってたんですか?

田中: 最初はスケボーをやってたんですけど、4年生の時に俺が身長がデカくて足が早かったので友達が誘ってくれてちょっとバスケを始めました。でもその時はまだスケボーメインで、5年生の時に真剣にバスケをやり始めました。

 

高野: え、その頃はもう背は高かったの?

田中: 5年生の時は177cmありました。

高野: デカ(笑)それはもうやったほうがいいね!

 

 

 

 

高野: その時のポジションは?

田中: その時は・・全部やってました。ガードからシューティングガード、フォワードからセンターまで全部。

 

高野: 今は?

田中: 今はポイントガードです。

 

高野: 「俺バスケでやっていけるわ!」って思ったことってある?いつ?

田中: 真剣にやり始めた時から「俺は行けるんだ」というよりも「上手くなるしかない」という気持ちしかなかったです。

高野: 「やらないといけないな」とか「これ天職かも」っていう?

田中: そうです、頭そこまで良くないもし・・・まぁアメリカではまぁまぁ頭いいですけどね(笑)

高野: まぁこっちの人すぐ計算機使うからね(笑)

田中: そうそう、テスト中でも「計算機使っていいよ」っていう(笑)

高野: SATも計算機使っていいもんね〜。

田中: そうそう。で普通の仕事よりは違う形でもっと頑張って家族に恩返ししたいっていう気持ちが小さい頃からずっとあって。お母さんシングルマザーなんでバスケで頑張って恩返ししたいなって思っています。

高野: うわ・・・いい息子だな〜。

ここで友達のシンペイ君が参入。

高野: どうぞどうぞ、座っていいよ。

高野: 話は飛ぶけど、小5からバスケをやっていて、一番思い出に残っている試合は?

田中: ジュニアオールスターですね。県選抜の。あれで一気に変わった気がします。

高野: 一気に突き抜けた感じか・・何県だったの?

田中: 神奈川県です。

シンペイ: 各県の代表が戦って全国のナンバーワンを決めるんですけど、その大会で神奈川が優勝しました。彼がそのエースだったんです。

田中: 神掛かってたよな。

シンペイ: 1点差か1ゴール差だったんです。

高野: そうだったんだ!?

田中: 2年生の時にも呼ばれていたんですけどあまり試合に出れなくていい経験じゃなかったので、3年生になったら暴れようという気持ちでずっと1年間頑張って練習していたんです。

高野: 一気にそこで借りを返したんだ!ところでウィンターカップは出てないの?

田中: 出てないんですよね〜。ほんっとに出たいんですよね〜。小学校からずっとウィンターカップは出たいって思ってたんです。

高野: そうか中3終えてすぐ来たんだよね?

田中: はい、俺はもう「海外に行きます」って言って(8月に)IMGアカデミーが始まるまでは日本で練習して、IMGアカデミーが始まったら来ました。

高野: もうIMGアカデミーに来るのは最初から決めてたの?

田中: ちょっと迷った時もあったんですけど中3の時に海外に行くことを決めていて、そうしたらIMGアカデミーに来て欲しいって言われたので来ました。

高野: もうIMGアカデミーに言われたら行くしかないよね。

田中: 行くしかないって思いました。小6の時にYouTubeでIMGアカデミーを観てて家で冗談半分で「俺ここ行くわ」って言ってたら本当に来ちゃいました(笑)

高野: その時はリアリティなかったんだ?

田中: そうですね。

IMGアカデミーバスケ練習風景

高野: IMGに来て日本のバスケと何が一番違った?

田中: プレースタイルが全然違います。日本は速攻、速攻で、アメリカも速攻はあるんですけど、セットプレーなんかでIQの高いバスケをします。アメリカでは中学・高校からプロみたいな意識で頭を使ってやってます。あとはフィジカルですね。パスが通ると思ったら全然無理だったり、ここシュートを打てると思っても全然無理だったりで。

高野: チームメイトもみんな大きいもんね。あのカナダの子とか。

田中: 2メートル27ありますよ。

シンペイ: 日本人ではプロでもなかなかいないです。それが高校にいるっていうのが、ね。

田中: しかもIMGはアメリカの中でもその年代の4位とか5位とかすごいのがいるんです。

高野: 学年ごとに個人ランキングがある?

田中: はい、それでトップ10とかが集まってくるんです。

高野: すごいな。じゃその辺の子達とフィジカルとIQで勝負するのか。。英語はどう?

田中: 全然平気です、英語は。小さい頃から話せたので。

シンペイ: ペラペラですよ。英語のテスト「は」点数良かったもんな(笑)

高野: 他の勉強は?歴史とか地理とか。数学はチョロいって言ってたけど(笑)

田中: いまは日本だったら5が3つ、4が2つとかですよ〜。

シンペイ: 勉強できなかったら試合出れないとかあるの?

田中: あるある、ルール的に出れないよ。大学と同じ。

高野: 今のチームでの位置づけってどう?スターターとかいう意味で。

田中: スターターはコロコロ変わるんで・・最初5試合位はスターターで出てて、その後少し出なかったり。みんな大事というか。チームに9人しかいないんで。

高野: それって普通?

田中: いや少ないです。日本だったら30とかいます。

シンペイ: ベンチでも15いますからね。

田中: コーチがあまり多く使う方じゃないので、もし15人いても7人しか使わないとか。

高野: IMGアカデミーのバスケ部は9人じゃないよね?確か下に1stとか2ndとかあったもんね?

田中: はい、他にたくさんいます。

高野: あとアメリカで通用したこととそうでなかった部分はある?

田中: スピードはどこ行っても早いって言われるので通用してるかなと思います。ゴールに行くドライブとか。あとはハンドリングですね。パスはアメリカで上手くなったと思います。でもアメリカでは全部通用していないといけないんですけどね。

高野: 逆にこれはもっと頑張らないとなと思うところは?

田中: リーダーシップですね。ガードの声の掛け方とか、日本ではそうならないんですけどこっちではディフェンスで問題があったりしてもガードの責任になるんですよ。練習や試合を仕切らないといけないし。指揮者みたいな感じですね。

高野: じゃ技術とかはその辺はとりあえず大丈夫かなっていう感じ?

田中: 技術はどんな上手くてももっと上手くならないといけないというか、自分で自分のこと上手いと思ったことないし、練習でも試合でもまだまだだという考えで臨んでいます。

高野: 今まででインスピレーションを受けたプレーヤーは誰?

田中: 小学校、中学校の時はずっとアービングみたいになりたいなって思っていました。

高野: プレースタイル的にもそう?

シンペイ: 実際似てますね。

田中: ハンドリングがもうNBAの歴史の中でも最高だと思います。

高野: じゃあ今も目指すところはそこ?

田中: 今は誰か他の人を目指すというより自分のベストを目指したいと思っていますね。

高野: なるほど。じゃあその自分の中の高みを目指して、やがてNCAAのD1カレッジに進んで行くことになるのかなと思うけどここに行きたいとかいうのはもうある?

田中: それはまだ全然ですね。今の段階では目の前のシーズンに集中していたいと思っています。

高野: その延長線上になるけどNBAも当然狙いたいと思っている?

田中: そうですね。でもどこのチームに行きたい、というのはないですね。NBAに入りたいっていうだけですね。

高野: 日本代表についてはどう?意識してる?

田中: してますね。日本を背負う気持ちは強いです。もうそれは俺の仕事だと思っています。日本代表を目指しながらこっちでバスケをします。

シンペイ: 自分たちの中学でバスケやってない子でもみんな力のこと知ってますし、プレッシャーはすごいと思います。ありがたいことなんでしょうけどこの年で日本中からそのプレッシャーを受けるのは大変だなと思います。

田中: 握手握手(笑)

高野: 良いアシストしてくれるね。

田中: メンタルは7割位を占めてると思うんですよね。いくら練習でできてもメンタルが弱いとどうしようもないですから。日本語が出てこないけど・・Self discipline(自律)が大事ですね。

高野: ありがとう。そんな話をしてるのに更にプレッシャーにならないといいけど、でもやっぱり日本人として頑張って欲しいな。

田中: いやでもそれはありがたいです。ありがとうございます。

高野: そうやって活躍する姿を見て同世代とか次の世代の子達が触発されたらうれしいね。

田中: そうですね、日本の将来っていうか日本の小さい子達へメッセージを送りたいっていう気持ちが強くて、自分の影響で小学生がバスケ始めてくれたり選抜チームに頑張って入ってくれたりしたら、試合で10点、20点とるよりそっちの方が全然嬉しいです。自分も先輩達のそんな姿を見てここまできたので、日本のバスケに影響を与えて強くできたら本当に嬉しいです。

高野: 次の世代の子達にとってのアービングになって欲しいね。

田中: そうですね!

高野: 本当に期待してます。

田中: ありがとうございます!

以上、スタープレーヤーのオーラは持ちながらもとても気さくで、キャンプに来た子達とも気軽に話し、写真やサインにも喜んで応じ、本当に自分のことだけでなく本心から日本のバスケのことを考えているのが感じられました。プランBとしても今後何らかの形で協力し、貢献していきたいと考えています。